日本の名産(布工芸品)


【参考文献】
  (1)『日本の名産事典』(遠藤元男・児玉幸多・宮本常一編、東洋経済新報社、1977)
  (2)『日本の伝統産業〈物産編〉』(通産企画調査会、1979)
【凡例】
  黒字:文献(1)のみに紹介されているもの
  
明るい紫:文献(1)および(2)に紹介されているもの
  
青緑:文献(2)のみに紹介されているもの


《北海道》 アツシ織  エルムユーカラ織  麻織物

東北地方

《青森県》 津軽こぎん  弘前手織  裂織  菱刺

《岩手県》 紫根染  茜染  古代型染  南部紬  裂織  ホームスパン

《宮城県》 仙台平  八つ橋織  正藍冷染  常磐紺形  紙布

《秋田県》 秋田八丈  秋田畝織  ぜんまい白鳥織  紫根染  茜染

《山形県》 米沢織物  置賜紬(長井紬・米琉・白鷹お召  鶴岡織物  紅花染  紅花紬

《福島県》 会津木綿  まだ布  川俣絹  からむし紬  奥州節絹

関東地方

《茨城県》 結城紬  石下紬  藍染  筑波絣

《栃木県》 真岡木綿  益子木綿  足利織物  結城紬  間々田組紐  武者絵のぼり  

《群馬県》 伊勢崎織物  桐生織物  館林紬  中野絣  群馬生絹  鬼石絹

《埼玉県》 秩父銘仙  飯能大島紬  所沢織物  川越斜子織  武州織物  本庄伊勢崎絣  長板中形染  注染  行田たび  鯉のぼり  羽生の武州唐桟  草加のゆかた

《千葉県》 唐棧織  銚子縮  大漁着・大漁旗

《東京都》 黄八丈  かっぺた織  村山大島紬  青梅織物  八王子織物  江戸小紋  江戸更紗  長板中型染  組紐

《神奈川県》 半原のぬい糸  横浜のスカーフ

中部地方

《新潟県》 小千谷縮  越後上布  小千谷紬  十日町織物(十日町絣)  塩沢紬  本塩沢(絹縮)  科布  五泉織物  裂織

《富山県》 福光麻布  桑山紬  城端絹  井波紬  高岡捺染

《石川県》 加賀友禅  能登上布  小松綸子  牛首紬  刺繍

《福井県》 羽二重  富士絹  越前墨流し  越前蚊帳

《山梨県》 大石唐糸織  甲斐絹  郡内絹  太布

《長野県》 信州紬(上田紬・飯田紬・山繭紬・天蚕紬・伊那紬  木曽麻布

《岐阜県》 郡上紬  岐阜ちりめん  美濃縞  笠松木綿

《静岡県》 葛布  遠州織物  ざざんざ織  和染  駿河藍染

《愛知県》 有松・鳴海絞  三河木綿  知多木綿

近畿地方

《三重県》 松阪木綿  伊勢木綿  タオル  組紐

《滋賀県》 近江上布  近江晒  近江蚊帳  浜ちりめん  浜紬  高島縮  本藍染  藤三郎紐  大津組紐  刺繍画  押絵  琴糸・三味線糸

《京都府》 西陣織  丹後ちりめん  京友禅  藤布  京鹿の子絞  組紐  和装小物・袋物  刺繍(京繍)  金銀糸  京小紋

《大阪府》 堺緞通  泉州毛布

《兵庫県》 丹波布(丹波木綿・佐治木綿  但馬ちりめん  播州織物  赤穂緞通  明石縮  鯉のぼり

《奈良県》 大和絣  奈良晒  奈良蚊帳

《和歌山県》 綿ネル  パイル織物・編物

中国・四国地方

《鳥取県》 弓浜絣  倉吉絣  因州木綿

《島根県》 広瀬絣  裂織  出西織  安来織  祝風呂敷

《岡山県》 作州絣  児島織物  倉敷緞通

《広島県》 備後絣  備後織物

《徳島県》 阿波藍・阿波しじら  鳴門たび  太布

《香川県》 保多織  手袋

《愛媛県》 伊予絣  五反田縞・狩江縞  先染晒織物  今治タオル

《高知県》 土佐地織  土佐紬  木綿織物

九州地方

《福岡県》 久留米絣  博多織  博多絞り  久留米たび  小倉織

《佐賀県》 佐賀錦  鍋島更紗  葛布  鍋島緞通

《長崎県》 島原木綿  長崎染  長崎錦

《熊本県》 天草更紗  肥後木綿(肥後絣)

《大分県》 別府絞  日代木綿

《宮崎県》 薩摩絣  綾の手紬  薩摩結城

《鹿児島県》 大島紬  串木野木綿  薩摩絣  芭蕉布

《沖縄県》 芭蕉布  琉球藍  琉球絣  久米島紬  首里紬  読谷山花織  板花織  みんさ  宮古上布  八重山上布   紅型


名産が産まれるためには、名産を生み出すための材料・技術がその地域に備わっていることが必要ですし、その生産によって生計が成り立つこと(生活を成り立たせるために産まれたものもあるかも知れません)が必要です。また、それぞれの時代での社会的背景、政治的状況を反映していることも事実で、名産の中には、今はみられなくなったものも少なくありません。しかし、こうして並べてみると実に多くの布製品が地域の名産としてある(あった)ことに驚かされます。まさに、衣・食・住の日常生活の中から産まれてきているといっても言い過ぎではないでしょう。こうした「名産」と呼ばれているものの多くは、今日の生活に豊かさと潤いをもたらしてくれるものとして、現代的な視点から、再度見直してみる必要があるかも知れません。

新聞報道によると、「日本特産農産物協会」では、平成12年度から地域特産物の生産や加工などの分野で卓越した技術能力を持つ人を「地域特産物マイスター」として認定・登録する制度を開始しました。認定・登録の対象は、地域特産物の生産、加工に携わる農業者や農産加工関係者などで、(1)地域特産物の生産・加工技術などに卓越し、その技術の向上と伝承に意欲的であり、(2)地域特産物の産地育成を支援する役割を担えること、が条件で、認定されると「地域特産物マイスター認定証」の交付と登録が行われ、認定されたマイスターは、同協会の研修会などでさらに技術を高め、技術普及、産地育成のための助言・指導をすることが期待されています。こうした制度を活用して、上のような布加工品の新たな復興ができればいいのですが。


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