イネ草型を制御する技術
- [要約]
- 植物の草型制御を目的として、草丈の調節と深く関与していると考えられるジベレリン代謝系の遺伝子、すなわち活性型ジベレリンを不活性化する 2 β 水酸化酵素遺伝子 (OsGA2ox1)及び活性型ジベレリンを合成する 3 β 水酸化酵素遺伝子 (OsGA3ox2)を単離した。これらの遺伝子の発現を調節することにより内性ジベレリン量を減少させ、イネ草丈を制御することができる。
農業生物資源研究所・生物工学部・生殖制御研究室
[連絡先] 0298-38-8371
[部会名] 生物資源・生物工学
[専門] バイテク
[対象] 稲類
[分類] 研究
- [背景・ねらい]
- 緑の革命でも明らかなように、イネ科主要作物の草型制御は収量増産を考える際の重要な形質であり、作物の草型制御、特に短桿化や受光態勢を強くすることは育種における最大目標の一つである。イネ草型の制御にはジベレリン等の植物ホルモンが深く関与していると考えられている。我々は、イネ草型の制御を目的として研究を進めている。その1つとしてジベレリン代謝系遺伝子の発現を制御することでイネ草丈の制御を図ることを目的とした。
- [成果の内容・特徴]
- ジベレリン代謝系の遺伝子である 2 β 水酸化酵素遺伝子(OsGA2ox1)及び 3 β 水酸化酵素遺伝子(OsGA3ox2)のクローニングを行った。 2 β 水酸化酵素は活性型ジベレリンを不活性化する酵素であり、 3 β 水酸化酵素は活性型ジベレリンを合成する酵素である。これらの遺伝子を利用して、イネ内生ジベレリン量を減少させることでイネ草丈の制御が可能と考えられた。
- そこで、イネ由来アクチンプロモーターあるいはD18プロモーター(生長組織特異的プロモーター)の下流に 2 β 水酸化酵素遺伝子cDNAをつないだベクター(図1)を構築し日本晴に形質転換した。双方共にイネの短桿化が可能であったが、アクチンプロモーターでは種子稔性の低下が認められた。一方、D18プロモーターでは種子稔性の回復が認められた(図2)。
- 3 β 水酸化酵素cDNAはアンチセンス方向にアクチンプロモーターにつなぎ、図3に示したベクターを構築し、日本晴に形質転換を行った。
- その結果、アンチ 3 β 水酸化酵素cDNAを導入したイネでは半矮性を示した(図4)
- [成果の活用面・留意点]
- 本研究で開発した技術を用いて、コシヒカリ等の実用品種に応用を図り、収量、倒伏性等の調査を行うと共に環境への安全性評価を推進する。
[その他]
研究課題名 :イネ草型を制御する技術の開発
予算区分 :バイテク先端技術(組換え・クローン)・生研基礎研究
研究期間 :平成12年度(平成12〜16年)
研究担当者 :田中宥司、番 保徳、坂本知昭、田部井豊、小川泰一、松岡 信(名古屋大)
発表論文等 :1)Sakamoto, T., Kobayashi, M., Itoh, M., Tagiri, A., Kayano, T., Tanaka, H., Iwahori,S. and Matsuoka,
M.(2000)Expression of a gibberellin 2-oxidase gene around the shoot apex is related to phase
transition in rice. Plant Physiol. 2001 Mar;125(3):1508-16.
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