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生物研
プレスリリース
平成26年2月20日
独立行政法人 農業生物資源研究所
沖縄県農業研究センター
信越化学工業株式会社

性フェロモンを利用したサトウキビの害虫防除に成功

- 環境と人間にやさしい防除法を開発 -

ポイント
  • サトウキビの大害虫「ケブカアカチャコガネ」について、人工合成した性フェロモンを利用して交尾を阻害し、増殖を防ぐ技術の開発に成功しました。
  • 合成した性フェロモンを封入したポリエチレンチューブを畑一帯に仕掛けて次世代害虫数を減らすことにより、サトウキビの被害の大幅な低減が見込まれます。

概要

  1. ケブカアカチャコガネはサトウキビの害虫で、沖縄県宮古島などで多大な被害をもたらしていますが、これまで効果的な防除技術がなく、防除技術の開発が求められていました。
  2. 独立行政法人農業生物資源研究所(生物研)と沖縄県農業研究センターはケブカアカチャコガネの生態解明およびメスの性フェロモン成分「2-ブタノール」の特定を行いました。さらに信越化学工業株式会社の協力を受け、性フェロモン成分を利用して交尾を阻害し、増殖を防ぐ技術の開発に成功しました。
  3. 本技術は、合成した性フェロモンを封入したポリエチレンチューブを畑一帯に仕掛け、性フェロモンを充満させて成虫の交尾を阻害する技術です。本技術の効果を被害地域に位置するサトウキビ畑で確認したところ、防除処理により次世代の幼虫数を無処理の場合の1/20程度(食害が出ないレベル)まで減らすことができました。
  4. 信越化学工業(株)はこの性フェロモンチューブの農薬登録取得を進めており、環境負荷が少ない農薬として実用化が期待されます。被害地域で広く本チューブを設置することにより、ケブカアカチャコガネ幼虫の加害によるサトウキビの減収をなくすことができると期待されます。
  5. この成果は、平成25年11月4日にApplied Entomology and Zoology誌に発表されました。
予算 :運営費交付金 (2001〜2013)
農林水産省「農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業」(2011〜2013)
プレスリリース全文 [PDF:904KB]
【発表論文】

Mating disruption for control of the white grub beetle Dasylepida ishigakiensis (Coleoptera:Scarabaeidae) with synthetic sex pheromone in sugarcane fields. Arakaki N, Hokama Y, Nagayama A, Yasui H, Fujiwara-Tsujii N, Tanaka S, Mochizuki F, Naito T, Hongo T, Wakamura S. Applied Entomology and Zoology 48: 441-446 (2013) DOI: 10.1007/s13355-013-0202-6

問い合わせ先など

研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長 廣近 洋彦
研究推進責任者:(独)農業生物資源研究所 昆虫科学研究領域領域長 野田 隆志
(独)農業生物資源研究所 昆虫科学研究領域
 昆虫相互作用研究ユニット主任研究員 安居 拓恵
 電話:029-838-6205  E-mail:yasui@affrc.go.jp
研究担当者:沖縄県農業研究センター 宮古島支所長 新垣 則雄
沖縄県農業研究センター 病虫管理技術開発班永山 敦士
信越化学工業株式会社 ファインケミカル部内藤 尚之
(独)農業生物資源研究所 昆虫科学研究領域
 昆虫相互作用研究ユニット任期付研究員 辻井 直
(元)(独)農業生物資源研究所 昆虫科学研究領域上級研究員 若村 定男
(元)(独)農業生物資源研究所 昆虫科学研究領域上級研究員 田中 誠二
広報担当者:(独)農業生物資源研究所広報室長 井濃内 順
 電話:029-838-8469
本資料は筑波研究学園都市記者会、農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブに配付しています。

【掲載新聞】  2月21日日本農業新聞、沖縄タイムス、琉球新聞
2月24日東京新聞
2月26日化学工業日報
2月28日産経新聞

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