トップページ > プレスリリースリスト > お米の粒の長さと重さに関わる新規遺伝子を発見

<お願い>
(独)農業生物資源研究所の省略形としては
「生物研」を使用願います。
生物研
解禁時間は4月15日(月曜日)
午前2時(新聞は朝刊から)
プレスリリース
平成25年4月12日
独立行政法人 農業生物資源研究所
東洋大学
国立大学法人京都大学

お米の粒の長さと重さに関わる新規遺伝子を発見

- ごく限られた品種しか持っていない有用遺伝子による品種改良に期待 -

ポイント
  • お米の粒を長くかつ重くする遺伝子を特定しました。
  • この遺伝子は、ごく限られた栽培品種にしか存在しない遺伝子であることがわかりました。
  • この遺伝子を育種に利用することで、収量性や品質の安定性が向上した品種の開発が期待されます。

概要

  1. (独)農業生物資源研究所(生物研)は、東洋大学、京都大学と共同で、インドのインディカ型イネ品種「カサラス」から、お米の粒を長くかつ重くする遺伝子「TGW6」を特定しました。
  2. カサラスのTGW6 遺伝子と対立する日本晴の遺伝子「TGW6 」も特定しました。日本晴TGW6 遺伝子をもつイネでは植物ホルモンの「オーキシン」を合成する酵素が作られることがわかりました。一方、カサラスTGW6 遺伝子は塩基の欠失があるため、カサラスTGW6 遺伝子をもつイネではオーキシン合成酵素が作られないためにオーキシンができず、その結果、お米の粒が長くかつ重くなることがわかりました。また、カサラスTGW6 遺伝子は、お米の品質を低下させる高温障害の発生を抑える働きも持っていました。
  3. カサラスTGW6遺伝子は、ごく限られたイネ品種、系統にしか存在していない遺伝子でした。カサラスTGW6遺伝子は現在栽培されている品種にはほとんど含まれていないため、今後、交配によりこの遺伝子を栽培品種に入れることで、収量性や品質の安定性が向上した栽培品種を作出できると期待されます。
  4. 今後、この様なごく限られた品種しか持っていない有用遺伝子を見つけ出し利用することで、より効率的なイネの改良が可能となります。
  5. この成果は4月15日、英国科学雑誌Nature Geneticsに掲載予定です。
予算 : 農林水産省委託プロジェクト「新農業展開ゲノムプロジェクト」(平成20-24年度)
農業生物資源研究所交付金プロジェクト「形態・生理機能の改変による新農林水産生物の創出に関する総合研究」(平成18-19年度)
特許:特開2010-115176
プレスリリース全文 [PDFファイル:507KB]
【発表論文】

Ken Ishimaru, Naoki Hirotsu, Yuka Madoka, Naomi Murakami, Nao Hara, Haruko Onodera, Takayuki Kashiwagi, Kazuhiro Ujiie, Bun-ichi Shimizu, Atsuko Onishi, Hisashi Miyagawa & Etsuko Katoh
Loss of function of the IAA-glucose hydrolase gene TGW6 enhances rice grain weight and increases yield. Nature Genetics  DOI:10.1038/ng.2612

問い合わせ先など

研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長廣近 洋彦
研究推進責任者:(独)農業生物資源研究所 植物科学研究領域長飯 哲夫
(独)農業生物資源研究所 植物科学研究領域
 植物生産生理機能研究ユニット ユニット長宮尾 光恵
研究担当者:(独)農業生物資源研究所 植物科学研究領域
 植物生産生理機能研究ユニット 主任研究員石丸 健
 電話:029-838-8381 E-mail:kenshi@nias.affrc.go.jp
(独)農業生物資源研究所 植物科学研究領域
 植物生産生理機能研究ユニット 特別研究員(現東洋大准教授)
廣津 直樹
(独)農業生物資源研究所 植物科学研究領域
 植物生産生理機能研究ユニット 特別研究員氏家 和広
(独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター
 生体分子研究ユニット 上級研究員加藤 悦子
東洋大学 準教授清水 文一
京都大学 教授宮川 恒
広報担当者:(独)農業生物資源研究所 広報室長 井濃内 順
 電話:029-838-8469
本資料は筑波研究学園都市記者会、農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブに配付しています。

【掲載新聞】  4月16日火曜日:化学工業日報、日本農業新聞
5月3日金曜日:科学新聞
5月9日木曜日:毎日新聞
5月15日水曜日:農業共済新聞

↑PAGE TOP