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プレスリリース
平成24年7月9日
独立行政法人 農業生物資源研究所
国立大学法人 筑波大学
国立大学法人 名古屋大学

昆虫の成長を操る酵素をカビから発見

- 昆虫の脱皮・変態・休眠の操作が可能に -


ポイント
  • 昆虫に病気を引き起こすカビから、昆虫の脱皮を引き起こす「脱皮ホルモン」を分解する酵素を発見しました。
  • この酵素を使って、重要害虫を含む様々な昆虫の脱皮、変態を阻害したほか、ガの一種では休眠(冬眠)を人為的に引き起こすことに成功しました。
  • この酵素を利用することにより、新しい農薬の開発のほか、カイコで有用物質を効率的に生産する技術、有用昆虫を長期保存する技術の開発が進むと期待されます。

概要

  1. (独)農業生物資源研究所(生物研)は筑波大学、名古屋大学と共同で、昆虫に病気を引き起こすカビ「緑きょう病菌」から、昆虫の脱皮や変態を制御する「脱皮ホルモン」を分解する酵素(E22O)を発見しました。
  2. カイコへE22Oを注射すると、血液中の脱皮ホルモンの濃度が下がり、脱皮や変態ができなくなりました。また重要害虫を含む他の様々な昆虫でも、E22Oの注射により脱皮や変態を抑えることができました。
  3. E22Oの注射により、ガの1種では成長が長期にわたって止まりました。その後、低温に数ヶ月間おくと成長が再開されるようになることから、E22Oによって休眠(冬眠)していたものと考えられます。
  4. E22Oの利用により、脱皮ホルモン濃度を下げることにより害虫を防除する農薬の開発やカイコで有用物質を効率的に生産する技術、有用昆虫類を人為的に休眠させて長期保存する技術の開発などが進むと期待されます。
  5. この成果は、平成24年5月11日付けの米国科学誌「The Journal of Biological Chemistry」で発表されました。
予算区分:農林水産省委託プロジェクト「形態・生理機能の改変による 新農林水産生物の創出に関する総合研究(形態・生理)」(平成18-19年度)
日本学術振興会 科学研究費補助金「基盤研究(C)」(平成21-23年度)「基盤研究(B)」(平成22-24年度)
科学技術振興調整費「若手研究者の自立的研究環境整備促進」(平成19-23年度)
特許:第3530495号「緑きょう病菌由来エクジステロイド22位酸化酵素とそれを用いた脱皮ホルモン不活性化システム」
参考資料 [PDFファイル:138キロバイト]
【発表論文】 Manabu Kamimura, Hitoshi Saito, Ryusuke Niwa, Teruyuki Niimi, Kinuko Toyoda, Chihiro Ueno, Yasushi Kanamori, Sachiko Shimura, Makoto Kiuchi. (2012)  Fungal ecdysteroid-22-oxidase: a new tool for manipulating ecdysteroid signaling and insect development.  Journal of Biological Chemistry 287: 16488-16498, DOI:10.1074/jbc.M112.341180

問い合わせ先など

研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長石毛 光雄
研究推進責任者: (独)農業生物資源研究所 昆虫科学研究領域長 木内 信
研究担当者:(独)農業生物資源研究所 昆虫科学研究領域
昆虫成長制御研究ユニット 主任研究員 神村 学
電話:029-838-6073、電子メール:kamimura@affrc.go.jp
筑波大学 生命環境系丹羽 隆介
名古屋大学 大学院生命農学研究科新美 輝幸
広報担当者:(独)農業生物資源研究所 広報室長井濃内 順
電話:029-838-8469

【掲載新聞】 7月10日(火曜日):化学工業日報、7月20日(金曜日):全国農業新聞、8月9日(木曜日):日経産業新聞

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