トップページ > プレスリリースリスト > 殺虫性タンパク質に抵抗性を示す昆虫遺伝子を発見

<お願い>
(独)農業生物資源研究所の省略形として
「生物研」を使用願います。
農業生物資源研究所ロゴマーク
プレスリリース
平成24年7月6日
独立行政法人 農業生物資源研究所
国立大学法人 佐賀大学
米国 ロードアイランド大学

殺虫性タンパク質に抵抗性を示す昆虫遺伝子を発見

- BT剤とBt組換え作物に対する害虫の抵抗性のしくみ解明と対策に期待 -


ポイント
  • 昆虫病原細菌が作る殺虫性タンパク質(Bt毒素)に対する抵抗性遺伝子をカイコで突き止めました。
  • 消化管で働くABCトランスポーターのタンパク質にアミノ酸1個が挿入されると、カイコはBt毒素抵抗性になることがわかりました。
  • BT剤に対する害虫の抵抗性の多くは、ABCトランスポーターの変異が原因と推定され、抵抗性発達の原因究明や対応方法研究の進展が期待されます。

概要

  1. 昆虫病原細菌 (昆虫に病気を引き起こす細菌) Bacillus thuringiensis が作る殺虫性タンパク質 (Bt毒素1)) は、昆虫に対して特に効果が高く人畜に無害なことから、殺虫剤 (BT剤2)) や、耐虫性遺伝子組換え作物 (Bt組換え作物) に広く利用されています。しかし、BT剤を連続して使用すると、他の農薬と同様に、BT剤に抵抗性を示す害虫が発生し問題となります。
  2. (独)農業生物資源研究所(生物研)、佐賀大学及び米国ロードアイランド大学は共同で、カイコを用いてBt毒素抵抗性の原因遺伝子の1つを突き止めました。
  3. Bt毒素抵抗性のカイコでは、ABCトランスポーター3) 遺伝子の変異により、Bt毒素感受性(影響されやすさ)が低下して抵抗性になることがわかりました。
  4. 害虫でも、この遺伝子の変異がBT剤やBt組換え作物の抵抗性に関わっていることが予想されることから、今後のBt毒素の作用のしくみや、害虫が抵抗性になるしくみに関する研究を行う上で重要な発見です。また、害虫がBt毒素に影響されにくいかどうかを簡便にモニタリングする技術の開発が期待されます。
  5. この成果は、平成24年5月25日に、米国科学アカデミー紀要にオンライン掲載されました。
予算区分:農業生物資源研究所運営交付金プロジェクト「共生系の解明による生物制御基盤技術の開発」(平成17年度〜21年度)
農林水産省受託研究プロジェクト「動物ゲノムを活用した新市場創出のための技術開発(昆虫ゲノム情報を活用した新需要創造のための研究)」(平成19年度〜23年度)
特許出願中(国内):出願番号:特願2010-212723、出願日:2010年9月22日
参考資料 [PDFファイル:387キロバイト]
【発表論文】 Shogo Atsumi, Kazuhisa Miyamoto, Kimiko Yamamoto, Junko Narukawa, Sawako Kawai, Hideki Sezutsu, Isao Kobayashi, Keiro Uchino, Toshiki Tamura, Kazuei Mita, Keiko Kadono-Okuda, Sanae Wada, Kohzo Kanda, Marian R. Goldsmith, Hiroaki Noda. (2012) A single amino acid mutation in an ATP-binding cassette transporter gene causes resistance to Bt toxin Cry1Ab in the silkworm, Bombyx mori.    Proceedings of the National Academy of Sciences 109: E1591-E1598, DOI:10.1073/pnas.1120698109

問い合わせ先など

研究代表者:(独) 農業生物資源研究所 理事長石毛 光雄
研究推進責任者: (独) 農業生物資源研究所 昆虫科学研究領域長 木内 信
(独) 農業生物資源研究所 昆虫科学研究領域
昆虫微生物機能研究ユニット長 中島 信彦
研究担当者:(独) 農業生物資源研究所 昆虫科学研究領域
昆虫微生物機能研究ユニット 上級研究員 宮本 和久
電話:029-838-6083、電子メール:tenteki@affrc.go.jp
広報担当者:(独) 農業生物資源研究所 広報室長井濃内 順
電話:029-838-8469

【掲載新聞】 7月12日(木曜日):化学工業日報
トップページ > プレスリリースリスト > 殺虫性タンパク質に抵抗性を示す昆虫遺伝子を発見