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ダイズの日長反応性を介した開花制御に関わる遺伝子を解明- 栽培地域の日長に応じた品種の開発による安定生産に期待 -ポイント
概要1. 植物は日の長さ (日長) の変化を感知して開花の時期を制御する性質 (日長反応性) を持ちます。ダイズは日の長さが短くなると開花が促進される短日植物です。この日長反応性に最も大きな効果を示す E1 という遺伝子座が存在することは1927年に報告されていましたが、その遺伝子の実体は分っていませんでした。 2. 今回、(独) 農業生物資源研究所 (生物研) は、中国科学院東北地理農業生態研究所、国立大学法人北海道大学、国立大学法人佐賀大学、公益財団法人かずさDNA研究所と共同で、世界で初めて E1 遺伝子を明らかにしました。 3. E1 遺伝子はこれまでに機能の報告がなされていない遺伝子でした。昼の長さが長い長日条件では、 E1 遺伝子の発現が誘導され、開花に直接関わるフロリゲン遺伝子の発現を抑制するのに対し、昼の長さが短い短日条件では、 E1 遺伝子の発現が抑制され、フロリゲン遺伝子の発現が促進されることで開花に至ることが分りました。 4. ダイズ種内には E1 遺伝子の一部が変化した変異遺伝子を持つ品種が存在します。これらの変異遺伝子を利用することにより、約20日の幅で開花期を制御できることが分りました。変異遺伝子を識別できるDNAマーカーを用いた選抜によって、栽培地域の日長に応じた品種を開発することにより、ダイズの安定生産につながっていくことが期待されます。 5. この成果は、平成24年5月22日に米国科学アカデミー紀要で公表されました。
発表論文: Xia Z, Watanabe S, Yamada T, Tsubokura Y, Nakashima H, Zhai H, Anai T, Sato S, Yamazaki T, Lu S, Wu H, Tabata S, Harada K (2012)
Positional cloning and characterization reveal the molecular basis for soybean maturity locus E1 that regulates photoperiodic flowering. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America Published online: May 22, 2012; doi:10.1073/pnas.1117982109 OPEN ACCESS 問い合わせ先など:
【掲載新聞】 6月7日(木曜日):化学工業日報、日経産業新聞
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