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プレスリリース
平成23年8月17日
独立行政法人 農業生物資源研究所

アフリカ栽培イネのゲノム塩基配列を解読

- 優れた耐病性などアフリカ栽培イネの農業特性の利用に期待 -


ポイント
  • 日本のイネとは別系統のアフリカ栽培イネのゲノムの主要部分を解読し、データベース(AfRicA DB)として公開
  • アフリカ栽培イネの持つ強い耐乾燥性や耐病性、耐虫性などを利用した新品種の開発に大きく貢献

概要

1.

世界の栽培イネには、オリザ・サティバ1)オリザ・グラベリマ2)という2つの系統があります。アジアで栽培されるオリザ・サティバでは、「日本晴」品種の全ゲノム塩基配列が解読されています。今回、(独)農業生物資源研究所(生物研)は、もう一つのアフリカ固有の栽培イネであるオリザ・グラベリマについてゲノム塩基配列を大規模に解読し、全ゲノムの約2割に相当する部分を明らかにしました。

2.

アフリカ栽培イネは乾燥や病気、害虫への抵抗性が強いことが知られ、アジア栽培イネと掛け合わせたネリカ米の作出にも使われています。今回の解読結果から、アフリカ栽培イネにしか存在しないと考えられるDNA配列が明らかになり、アジア栽培イネでは存在しない遺伝子が複数確認されました。これらの違いがそれぞれの栽培種を特徴付けている可能性があります。また、この中にはアフリカ栽培イネの耐病性の強さと関連する遺伝子が多く含まれています。

3.

これらの成果は、アフリカ栽培イネとアジア栽培イネの両方の改良に利用できると考えられ、より良い品種の開発に大きく貢献することが期待されます。

4.

今回の結果は、データベースとして、『AfRicA DB(http://green.dna.affrc.go.jp/Og/)で公開するとともに、英国の科学雑誌The Plant Journalで公開されました。

予算区分:農林水産省委託プロジェクト「アグリ・ゲノム研究の総合的な推進」「新農業展開ゲノムプロジェクト」(平成20-24年度)
参考資料 [PDFファイル:225キロバイト]

Hiroaki Sakai, Hiroshi Ikawa, Tsuyoshi Tanaka, Hisataka Numa, Hiroshi Minami, Masaki Fujisawa, Michie Shibata, Kanako Kurita, Ari Kikuta, Masao Hamada, Hiroyuki Kanamori, Nobukazu Namiki, Jianzhong Wu, Takeshi Itoh, Takashi Matsumoto, and Takuji Sasaki
Distinct evolutionary patterns of Oryza glaberrima deciphered by genome sequencing and comparative analysis
the plant journal 2011, 66(5):796-805 (doi: 10.1111/j.1365-313X.2011.04539.x 2011年3月21日にオンライン公開)

問い合わせ先など

研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長石毛 光雄
研究推進責任者: (独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター
作物ゲノム研究ユニット ユニット長松本 隆
研究担当者: (独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター
ゲノムインフォマティックスユニット 研究員坂井 寛章
電話番号:029−838−7065、電子メール:hirsakai@affrc.go.jp
(独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター
ゲノムインフォマティックスユニット長伊藤 剛
広報担当者:(独)農業生物資源研究所 広報室長小川 泰一
電話番号:029−838−8469


【掲載新聞】 8月18日木曜日:化学工業日報

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