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プレスリリース
農業生物資源研究所ロゴマーク
平成22年9月6日
独立行政法人 農業生物資源研究所

植物の特定の遺伝子を狙って働きをなくす新技術を開発

- 育種の効率を画期的に向上する技術として期待 -


ポイント
  • 特定の遺伝子を狙ってその働きをなくし、意図的に突然変異体を作出することに、植物で初めて成功しました。
  • この技術は、遺伝子機能の解析に用いられるだけでなく、作物の農業上好ましくない遺伝形質を取り除くなど、育種にも用いられる技術としても画期的なものです。

概要

(独)農業生物資源研究所は、DNA中の特定の塩基配列と結合するDNA切断酵素タンパク質(ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN))を利用した新技術により、ZFNが結合した特定の遺伝子の働きをなくした植物体を作出することに、世界で初めて成功しました。

この技術を活用することで、今までは低頻度で偶発的に生じる突然変異1) によって得られていた変異体を、意図的に作成することが可能になりました。今後この技術は、植物の基礎研究および突然変異を利用した育種に大きく貢献し、育種期間の大幅な短縮をもたらすことが期待されます。

この研究成果は2010年6月29日に米国科学アカデミー紀要(PNAS)に公開されました。また、同誌の注目論文として Breaking News のタイトルで紹介されました。

予算:農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター
         「新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業」(2006〜2010年度)
参考資料 [PDFファイル:413キロバイト]
Keishi Osakabe, Yuriko Osakabe, and Seiichi Toki
Site-directed mutagenesis in Arabidopsis using custom-designed zinc finger nucleases
Published online before print May 27, 2010, doi: 10.1073/pnas.1000234107 PNAS June 29, 2010 vol.107 no.26 12034-12039 OPEN ACCESS ARTICLE
Holger Puchta and Barbara Hohn
Breaking news: Plants mutate right on target
Published online before print June 16, 2010, doi:10.1073/pnas.1006364107 PNAS June 29, 2010 vol.107 no.26 11657-11658

問い合わせ先など

研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長石毛 光雄
研究推進責任者: (独)農業生物資源研究所植物科学研究領域長 飯  哲夫
研究推進責任者: (独)農業生物資源研究所植物科学研究領域
遺伝子組換え技術研究ユニット長 土岐 精一
電話番号:029−838-8450、電子メール:stoki@affrc.go.jp
研究担当者: (独)農業生物資源研究所植物科学研究領域
遺伝子組換え技術研究ユニット 特別研究員 刑部 敬史
共同研究者:東京大学大学院 農学生命科学研究科 講師刑部 祐里子
広報担当者:(独)農業生物資源研究所広報室長川崎 建次郎
電話番号:029-838-8469


【掲載新聞】 9月7日火曜日:化学工業日報、日本農業新聞、日経産業新聞、9月24日金曜日:科学新聞

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