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プレスリリース
平成22年1月21日
独立行政法人 農業生物資源研究所

植物が「よそ者遺伝子」を眠らせるしくみを発見

- 遺伝子組換え作物開発の効率化に期待 -


ポイント
  • 非自己遺伝子の発現を妨げる新しいしくみを発見。
  • 遺伝子組換え作物開発の効率化に期待。

概要                                                                                             

農業生物資源研究所は、理化学研究所、大阪大学と協力して植物が不必要な遺伝子を眠らせておく遺伝子サイレンシングの新しいしくみを発見しました。

生き物の遺伝情報のセットは「ゲノム」とよばれ、体の形づくりや外部刺激に対する反応などのマニュアル、いわば百科事典の役割を果たしています。しかし、ゲノムに書かれていることは必ずしも意味のあることばかりではなく、非自己遺伝子(トランスポゾン)とその残骸も多数存在していることがわかっています。これらの非自己遺伝子の活動を妨げ、眠らせておくしくみの研究は、近年の生物学における最先端研究のひとつです。植物は、外部から侵入してくるカビや細菌などを認識し、防御するしくみを持っていますが、異種生物の侵入だけではなく、非自己遺伝子に対して反応するしくみも持っています。遺伝子組換え作物に必要な有用遺伝子も、しばしば植物によって「非自己遺伝子」として認識され、眠らされてしまうことがあり、遺伝子組換え作物の効率的な開発を妨げる要因となっていました。今回、このような「非自己遺伝子」が眠らされるしくみの一端を明らかにすることができました。

この成果により「植物は非自己遺伝子をどのようにして眠らせるのか?」という重要な問題の解明に向けて大きな一歩が得られました。この成果は、今後、遺伝子組換え作物の効率的な開発につながることが期待されます。

予算:交付金プロジェクト「ジーンターゲッティングの効率化とジーンサイレンシングの制御を支える基盤技術の開発」(H18年度〜H20年度)、日本学術振興会科学研究費(H21年度〜H23年度)

参考資料 [PDF:678キロバイト]


Hisataka Numa, Jong-Myong Kim, Akihiro Matsui, Yukio Kurihara, Taeko Morosawa, Junko Ishida, Yoshiki Mochizuki, Hiroshi Kimura, Kazuo Shinozaki, Tetsuro Toyoda, Motoaki Seki, Manabu Yoshikawa and Yoshiki Habu
Transduction of RNA-directed DNA methylation signals to repressive histone marks in Arabidopsis thaliana
The EMBO Journal (2010) 29, 352-362 | doi:10.1038/emboj.2009.374
Published online: 10 December 2009
この号の巻頭にも取り上げられました。
Silencing: new faces of Morpheus' molecule
The EMBO Journal (2010) 29, 279 - 280 | doi:10.1038/emboj.2009.388
本論文は「FACULTY OF 1000 BIOLOGY」に選ばれました。http://f1000biology.com/article/id/1284007

問い合わせ先など                                                                              

研究責任者:(独)農業生物資源研究所 理事長石毛 光雄
研究推進責任者:(独)農業生物資源研究所 遺伝子組換え技術研究ユニット 主任研究員土生 芳樹
電話番号:029-838-7442、電子メール:habu@affrc.go.jp
広報担当者:(独)農業生物資源研究所 広報室長川崎建次郎
電話番号:029-838-8469


 【掲載新聞】 1月28日木曜日:化学工業日報

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