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昆虫の脱皮を制御する複雑なメカニズムを解明- 害虫の発育を阻害する新たな農薬開発につながることが期待 -ポイント
概要農業生物資源研究所、東京大学、名古屋大学、浙江大学、スロバキア科学アカデミーの研究グループは、カイコの脱皮ホルモンの合成を抑える前胸腺抑制ペプチド(PTSP)の受容体が、ハエの再交尾を防止する受容体と同一であることを明らかにしました。 昆虫の脱皮や変態は、前胸腺という胸部にある器官から分泌される脱皮ホルモンによって引き起こされます。私たちの研究グループは、カイコの脱皮ホルモンの合成を抑える神経ペプチドの一種であるPTSPの受容体を特定し、ハエで再交尾を抑える作用をもつ性ペプチドの受容体と構造が同じであることを示しました。また、PTSPが末梢神経で合成されることも明らかにしました。これまでに、脳などの中枢神経で合成された物質によって脱皮ホルモン合成が制御されることは知られていましたが、今回の結果から、末梢神経によっても制御されることが初めて明らかにされました。 今後、カイコで得られた受容体の情報を利用して、ウンカなどの害虫防除に有効な新規の農薬開発につながることが期待されます。
参考資料 [PDF:197キロバイト]
Yamanaka N., Hua Y-J., Roller L., Spalovska-Valachova I., Mizoguchi A., Kataoka H., Tanaka Y. (2010)
Bombyx prothoracicostatic peptides activate the sex peptide receptor to regulate ecdysteroid biosynthesis. Proc. Natl. Sci. USA. doi: 10.1073/pnas.0907471107 OPEN ACCESS ARTICLE 問い合わせ先など
【掲載新聞】 1月18日月曜日:化学工業日報、1月19日火曜日:日経産業新聞、1月29日金曜日:朝日新聞、科学新聞 農業生物資源研トップページ > プレスリリースリスト > 昆虫の脱皮を制御する複雑なメカニズムを解明 |