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プレスリリース  参考資料(背景、研究内容12、3)、用語説明、研究担当者

プレスリリース
平成20年11月25日
独立行政法人 農業生物資源研究所

根粒菌・菌根菌と植物が共生するために必要な遺伝子を発見


農業生物資源研究所は、ミュンヘン大学、大阪大学、かずさDNA研究所と共同で、根粒菌や菌根菌と植物の共生に関与する遺伝子の一つである、Cyclops遺伝子を発見しました。

土壌微生物である根粒菌や菌根菌が植物と共生すると、それらの微生物は植物に必要な栄養源を供給し、植物の生育に対して重要な役割を果たします。植物が根粒菌と菌根菌の両者と共生する際には、共通の共生遺伝子が関与することが知られており、今回その1つであるCyclops遺伝子をマメ科植物の一種から発見しました。また、Cyclops遺伝子から作られるCYCLOPSタンパク質は、以前当研究所を含むグループが発見した、別の共通共生遺伝子から作られるCCaMKタンパク質によりリン酸化され、共生に必要な遺伝子の発現を調節していると考えられました。さらに、Cyclops遺伝子はイネと菌根菌の共生にも関与しており、この遺伝子の機能は植物に広く保存されていると推測されました。今後、根粒菌や菌根菌との共生の仕組みの研究が進むことにより、共生を利用した、低肥料による環境に優しい新たな農業の発展が期待されます。

この成果は、2008年11月24日の週(米国時間)に、米国科学アカデミー紀要(The Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)のonline版で公開されます。この研究は、独立行政法人科学技術振興機構からの受託研究である戦略的創造研究推進事業「共生ネットワークの分子基盤」(H14〜H19)、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センターからの受託研究である新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業「マメ科植物の共生微生物受容システムと感染・根粒形成を支える遺伝子ネットワークの解析」(H19〜H21)で実施しました。


Koji Yano, Satoko Yoshida, Judith Muller, Sylvia Singh, Mari Banba, Kate Vickers, Katharina Markmann, Catharine White, Bettina Schuller, Shusei Sato, Erika Asamizu, Satoshi Tabata, Yoshikatsu Murooka, Jillian Perry, Trevor L. Wang, Masayoshi Kawaguchi, Haruko Imaizumi-Anraku, Makoto Hayashi, and Martin Parniske
CYCLOPS, a mediator of symbiotic intracellular accommodation
PNAS published online before print December 11, 2008, doi:10.1073/pnas.0806858105

【問い合わせ先】
研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長 石毛 光雄
代表研究担当者:(独)農業生物資源研究所 植物科学研究領域
耐環境ストレス研究ユニット長 林  誠
電話:029−838−8376
広報担当者:(独)農業生物資源研究所 広報室長 新野 孝男
電話:029−838−8469


 【掲載新聞】 11月25日火曜日:日本農業新聞、12月1日月曜日:化学工業日報、12月5日金曜日:科学新聞

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