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JSPS特別研究員の二橋亮さんの論文がScience誌(2008年2月22日号(319号、1061))に掲載される-アゲハ幼虫の擬態紋様の切り替えが幼若ホルモンによって制御されていることを解明-農業生物資源研究所JSPS特別研究員である二橋 亮さんの論文が東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻藤原晴彦教授との共著でScience誌(2008年2月22日号(319号、1061))に掲載されました。 アゲハの幼虫は4齢幼虫までは白と黒からなり、鳥のフンに擬態しているが、5齢になると全身が緑色になって食草に似た隠蔽色になります。これは、鳥のフン紋様のまま成長するとかえって目立ってしまうためではないかと考えられています。 今回、このアゲハ幼虫の擬態紋様の切り替えが、幼若ホルモン(JH)によって制御されていることをつきとめました。アゲハの4齢幼虫初期にJH処理を行うことで、高い割合で鳥のフン型の5齢幼虫が得られ、また、JH処理の時期を遅らせると鳥のフンと隠蔽色の中間的な紋様を持つ個体も得られました。さらに、アゲハの体液中のJH濃度の測定を行ったところ、4齢幼虫になってから減少することも確認されました。JHの影響を遺伝子レベルで解析したところ、JHは幼虫全体の緑色の着色だけでなく、表面の突起構造や目玉模様などの色素分布も調節していることが確認されました。 以上の結果から、JHの濃度に応じてさまざまな遺伝子の発現パターンが一斉に切り替わり、鳥のフンから隠蔽色へと劇的に擬態紋様を切り替えるモデルが考えられました。 Juvenile Hormone Regulates Butterfly Larval Pattern Switches Ryo Futahashi1 and Haruhiko Fujiwara, Science 22 February 2008: Vol. 319. no. 5866, p. 1061 DOI: 10.1126/science.1149786
【掲載新聞】(参考記事: 2月22日(金)日本経済新聞、東京新聞、産経新聞)) [ 農業生物資源研究所トップページ ] [ プレスリリースリスト ] |