昆虫科学研究領域

昆虫成長制御研究ユニット


昆虫が脱皮・変態・生殖・休眠する仕組みの解明

 昆虫は、害虫として農作物に甚大な被害をもたらす一方で、カイコやミツバチなどは人間の生活に有用な産物を提供しています。このため、昆虫の成長や発生・生殖を人為的にコントロールする技術の開発が、農業生産上たいへん重要な課題となっています。
 昆虫成長制御研究ユニットでは、トビイロウンカ等の重要害虫や、カイコ等の有用昆虫を対象に、ゲノム情報や生体情報を利用して、成長・発生・生殖に関わる遺伝子の特定・機能解析およびその利用技術の開発を行っています。特に幼若ホルモン(JH)、脱皮ホルモン、ペプチドホルモンなどの、昆虫特異的なホルモンの作用発現に関わる遺伝子や、殺虫剤抵抗性害虫の原因遺伝子の特定と機能解明に焦点を当てて研究を進めています。また、RNA干渉法(RNAi)等を用いて発生・再生・休眠等に関わる遺伝子についても機能解析を進めています。これらの研究で得られた知見を基に、新しい害虫制御技術の開発や、殺虫剤抵抗性害虫に対抗する技術の開発を目指しています。

カイコJH 受容体候補遺伝子(BmMet2)を利用したJH 剤・抗JH 剤スクリーニング法の開発

チャバネアオカメムシから発見されたカメムシ特異的な幼若ホルモン(JH)の化学構造

カメムシ目昆虫にだけ作用する薬剤の開発標的として期待されます。

カブラハバチの成虫および幼虫における RNAi による遺伝子抑制の効果

(a)昆虫の翅(はね)、脚(あし)、触覚や口器の形づくりに必要な Distal-less という遺伝子のはたらきを蛹のときに抑制すると、成虫の胸脚の先端部分が失われます(右)。
(b)Distal-less 遺伝子のはたらきを胚のときに抑制すると、成虫のときと同じように、ふ化した幼虫の胸脚の先端部分が失われます(右)。口器の先端にも異常が現れます。この遺伝子がはたらいていないイボ脚(腹脚)に異常は現れません。

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