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Messege from

 松原 悠子
 動物科学研究領域 動物発生分化研究ユニット
 主任研究員

現在どんな仕事(研究)をしていますか

 長年、診断や治療に利用できる有用物質を卵白中に生産する形質転換ニワトリ作出の開発を担当してきましたが、この4月の組織改変で「ニワトリ卵黄抗体の作製システム構築」にテーマが変わりました。

生物研(研究という仕事)を選んだ理由・きっかけは

 高3の夏に基礎医学をやりたいと思い立ち、「体力があるからがんばれ」との先生の励ましに医学部を目指すも夢破れて理学部生物学科へ入学しました。ライフサイエンスが少しでも勉強できればと、ピルの開発に勤しんでおられた発生学教室の名物先生に弟子入りしました。哺乳類の受精機構解明への興味がつきず、学籍が空くのを2年待って農学部の繁殖学教室・博士後期課程へ編入学しました。ドクター終了後、職はなく、民間企業を経て、平成元年に家畜衛生試験場に専攻採用され、畜産試験場に異動して、組織改変で生物研に所属するようになりました。

研究という仕事の面白さややりがいについて教えてください

 自分の信念を貫いて自分なりの仮説に一歩でも近づけた時に、この研究の世界にいられることに幸せとやりがいと生きがいを感じます。

今後の仕事(研究)における夢は何ですか

 世の中に少しでも貢献できる研究を行うことです。

仕事と家庭(生活)とのバランスについて、ご自身の考えや工夫されていることはありますか

 シングルマザー暦17年。仕事、家事、育児、PTA活動、趣味に、最近は近所に住む家族の生活サポートが加わり、一人多役でバランスを考えて行動する余裕はありません。目の前にある、今やるべきことにのみ集中します。仕事も家庭も交代要員がいないので、無理せず、たゆまず、立ち止まらず。瞬発力より持久力で勝負。幸いにも共同の仕事からは外していただいたので、家族に関係する用事は自分の都合のみで対応できました。業績はあまり出せませんでしたが、周りに迷惑をかけずに(思い込みかもしれません)来られたことは、感謝感謝です。

女子学生・ポストドクターへのメッセージをお願いします

 女性が結婚や出産を機に退学や退職を促された先輩達の辛く厳しい時代を感じながら、「女だてらに、女のくせに、女は体力がない、女を出すな」と言われ続けた学生時代を体験しました。出産後は、子供の病気や怪我で培養中の細胞培養や長期に渡る実験をなくなく中断して成果が思うように出せず、いざ学会参加と思っても子供達の預け先が見つからないといった逆境にもめげず、「止めずに続けることが自分の使命」と歯を食いしばって来ました。今は、女性研究者でも男女の差を感じることなく仕事ができる環境が整備されつつありますが叶わないこともあります。女性性も能力の一つ。たおやかにしなかやにしたたかに生きてほしいです。論文になるからする研究ばかりでなく、崇高な理念の下、息の長い研究に挑戦してほしいです。子育ては一人でするものではないが実感で、実験室にいてなんぼの研究者には、良きパートナーを選ぶことが何よりも肝心です。研究が煮詰まって暗礁に乗り上げた時、支えてくれる同姓の研究者仲間、精神的なサポートをしてくれる応援団、サイエンスを熱く語れる仲間をもつことが研究の原動力になります。勇気をもって、研究の世界に踏み込んでください。

[2011/06/30]

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